店舗内装をDIYするのは可能か、法律上問題はないのか

店舗内装は完全に自分たちだけでできるわけではなく、法律により禁止されている部分はあります。経費節減などを期待してDIYをするなら、事前にプロへ確認して工事業者を手配してもらうことで完了させることが可能です。
店舗を開店させるためには、経費がいろいろとかかります。店舗内装をDIYでできたら経費節減できるのではないかと考えている人もいますが、法律的に可能でしょうか。工事を行うメリット・デメリットや、どれくらいコストを抑えることができるのか、い抜き物件をDIYできるかなどを理解しておくと、実際に実行に移す時に役立ちます。また、自分たちでどの範囲までDIYできるのかなどを理解しておくことも重要です。

店舗内装をDIYすることは法律上可能?

店舗内装

店舗内装をDIYでできるかといえば、100パーセントは不可能です。正確に言えばできる部分とできない部分があります。何も知らないままで自分たちの理想通りの店舗にしたいと、店舗内装をDIYで実行した場合、消防法や建築基準法違反になるリスクがあるからです。
建築基準法は国交省が管轄している法律で、飲食店は特殊建築物と定義されています。一般的な住宅よりも火災が発生しないように厳しく制限されているため、DIYで工事をした場合法律を知らないと違反してしまう可能性が高いです。天井や壁に難燃材を使用することをはじめ、地上に通じる廊下や階段、通路で難燃以上の防火材料を使わなければならないなど、細かく決められています。
消防法でも同様です。消化・警報・避難設備それぞれを完全準備していないと、お店をオープンさせることができません。これ以外にも都市計画法違反につながる可能性や、電気・ガス・水道などの工事は資格保持者でなければ工事できないなどの規制があるため、注意が必要です。特に電気・ガス・水道などはプロに依頼しないと工事を完了させることができません。
空調と内装工事との関係もあるため、店舗内装を検討する場合には、できる部分とできない部分を明確にすること、DIYでできる範囲を理解し、業者と協力して店舗内装を自分たちでできる範囲のみ実行することが大切です。工事の時間をできるだけ割くことができるか、開店までの準備期間で多忙な時期にできることがあるか、時間配分を考えることが完成までに必要なポイントといえます。

DIYを行う上でのメリット・デメリット

店舗内装

店舗内装をDIYするメリットは、開店してから店舗の業績を軌道に乗せるまでに必要となる経費を多少確保できることです。業者に依頼すると事前に見積もりをしていたよりもはるかにコストがかさんでしまうこともあるため、自分たちでDIYすることは余分な費用を掛けなくて済みます。
店舗開業時にできるだけコストを抑えてその分を店の運営資金へ回すことが出来ようにするためには、どこかで経費を節減しなければなりません。DIYでコストダウンをすることで運営資金へ経費を回すことができるのがメリットです。
また、自分たち好みの内装をすることができるため、内装面で不満を感じることがありません。DIYなら決められたデザインとは違うオリジナリティある、理想通りの店づくりをすることができます。完成した店に愛着を抱き、手入れを怠らずいつでもきれいな状態にすることも可能です。
デメリットとなるのは時間で、工事をするための時間を睡眠時間などを割いて捻出しなければなりません。開店のための書類整理を行いながらDIYをするのは大変といえます。また、法律や技術上すべての工事を自分たちですることはできません。電気・ガス・水道・防火設備などの工事をするのはプロに任せるため、業者との綿密な打ち合わせが必要です。素人がDIYすることで工事した部分がすぐにはがれたり故障してしまうリスクがあることも、デメリットといえます。こだわりすぎると店に依頼したよりも高額となる部分もデメリットでしょう。メリット・デメリットを理解して工事をすることが重要です。

居抜き物件をDIYすることは可能か

店舗内装

通常の店舗新築やビルテナントでDIYの店舗内装工事をするよりも、い抜き物件で一部DIY工事をしたほうがコストを抑えられて便利といえます。理由の一つにい抜き物件はすでに消防法や建築基準法の審査に通っている物件であるため、ある程度工事をする部分を減らせるからです。
あまりにも古い物件の場合は改築が必要となるため必ずしもこの限りではありませんが、ある程度工事する箇所を減らすことができるのはメリットの一つです。もし物件のなかでテーブルやいす・棚などが据え置きになっていたら、さらにチャンスといえます。利用することでコストを抑えて自分たちの開店後の運営資金に回せるからです。
ただし、工事ができない部分は存在しているため、確認が必要です。特にライフラインは視覚が必要となるため、無資格者が工事することはできません。耐震性に関してもチェックをしておくことは重要となるため、DIYでできる部分は少なく、すでに消防法や建築基準法を通っていたとしても、万が一に備えてできるだけ耐震工事などを模しておくことが重要です。
天井から重みのある物をぶら下げる内装であったり、カウンターなどを設置して以前とは思い切って違った工事をしたいなどの場合にも、建築業者と相談しなければなりません。い抜き物件をそのまま生かすのであれば問題はありませんが、い抜き物件を大幅に改造する場合は、ある程度工事内容によりDIYでは難しくなるところも多いです。工事内容を正確に決めてから建築業者へ相談してください。

DIYできる範囲を理解して工事すること

店舗内装

基本的にDIYできる範囲となるのは、壁や床のリフォームです。壁と床を新しい物にすることは簡単であると判断されていること、内装工事とは言えどもある程度断熱材が入っているなどの状況により、壁や床などを張り替えることも可能となります。
たとえば、い抜き物件で古い壁紙をはがして塗装を行うことや、市販されている壁紙を張り付けることなどはDIYの範囲です。床はクッションフロアやタイルシートを使うことである程度何とかなりますが、断熱材を敷き詰めなければならない場合などには工事を業者に任せたほうがいいといえます。
塗料の種類により乾くと黒板のようになる塗料や塗って乾燥させるだけで磁石がくっつくようになるマグネット塗料などもあるため、壁面に塗装して店舗でのオーダーなどの参考にすることもできるのがメリットです。塗料の種類に合わせて店舗のコンセプトにも大きく影響を及ぼすことができます。
作り付けの棚の色などが気に入らない場合はペンキを塗って変化させることや、棚自体が気に入らない場合には大きさによって取り外して別の棚を取り付けることも可能です。照明器具が古くなっている部分を交換して新しくLED電球にすることもできます。ただし照明のソケット部分が古いとどうしても正確な情報を把握することができないため、耐震性や天井からぶら下げられている照明の状況により、対応が異なるでしょう。自分たちでは判断がつかない、気になる場合は工事業者との打ち合わせの時に話し合ってください。

DIYである程度の工事を行うことは可能となりますが、消防法や建築基準法違反につながらないように積極的に対応することが必要です。また、自分たちでこだわりのある部分を仕上げたいと考えているなら、なるべく早く対応したほうがいいでしょう。注意したいのは工事などをするときに、ライフラインはDIYしないことです。専門業者に依頼して適切な工事をすることが重要です。開店までの準備期間などをも把握して、納得できる工事をすることが重要です。